読書感想<農業>農で1200万円!

読書感想

農で1200万円! 「日本一小さい農家」が明かす「脱サラ農業」はじめの一歩 [ 西田栄喜 ](Amazon)

農で1200万円! 「日本一小さい農家」が明かす「脱サラ農業」はじめの一歩 [ 西田栄喜 ]

概要

非農家だった著者がサラリーマンから脱サラし1999年から新規就農して、小規模農家を生かした様々な挑戦をしながら書籍タイトルの通りに安定するまでの話を交えつつ、そこに至るまでに得た自身のノウハウを余すところなく教えてくれる本でした。(初版2016年)

これだけは言いたいおすすめポイント

著者の飾らない人柄が伝わってくる本で、この人は自分が良いと思っていることを正直に良いと教えてくれている、信頼できると感じた。きれいごとばかり書いてある本は具体的なことが抜けていたり、理論がおかしいのですぐわかるのですが、この本は具体的な数字ばかり、しかも読者が知りたいぶっちゃけてほしいポイントを押さえた情報をバンバン教えてくれています。(そんな良い情報を教えてくれる理由は、読者と自分が競合にはならないから、だそう。なぜ競合にならないのかは、ぜひ書籍を読んでみてください)

小規模農家の経営ポイント

  • 50品種以上の野菜を栽培し、野菜セットを通販
  • 農業は著者1人で運営・奥様が漬物とお菓子を加工販売の二人三脚
  • 耕地面積30a初期投資百数十万円 借金なし 補助金なしのスモールスタート
  • 海外の農業の現場を見て、スケールメリットでは勝負ができない、日本で付加価値が生まれるのは価格ではなく味や安全性だと気づいたそう
  • 就農して一番最初は軽自動車に加工品や野菜を積んで路上で引き売り販売をしたことも
  • 成功している小規模農家について著者の感想→お客さんと直接繋がっているスタイルや、貪欲な拡大志向ではなく自分たちやお客さんを充実させる方向性の人が成功している
  • 「売上基準金額」という考え方
    「売上目標金額」が通常の考え方だが、売上基準金額は基準金額に対してプラスマイナス5%以内に売上を持っていく考え方
    (仮に、105%超えの売り上げがあった時は働きすぎたのではないか?家族が幸せか?ということを反省する)

生産方法ポイント

  • 有機や無農薬などいろいろな農法があるが、著者は硝酸態窒素含有量の低い野菜を目指している
  • 著者おすすめの初期栽培用の書籍 図解 家庭菜園びっくり教室(農山漁村文化協会)を基に試行錯誤して3年目から収量が安定→この書籍も読まなきゃ

気づき

  • 多品目栽培だと、菜園のレイアウトがとても楽しく魅力的で付加価値の一つになる
  • 奥様(家族)の支えの力は大きい
  • 生産から一貫した直接販売であればお客さんが何が欲しいかを考えてPDCAを回すことができる
  • 同じ送料がかかるのであれば加工品などもついでに買ってもらえるチャンスがある
  • 無農薬栽培は難しく実際あまり高く売れるわけでもない が看板・付加価値としての役割は大きい
  • 就農十数年目から炭素循環農法・無肥料栽培。うねを固定して半不耕起・うねごとに植える野菜を切り替えていく→多品目栽培との相性も良い
  • 廃棄率をゼロに近づけるために加工をする→廃棄率を0にすることは所得アップに直接繋がる
  • 100円の野菜の内訳・流通経費が54円、農家の取り分が46円、そのうち 経費が32円 純利益が14円なので、小規模農家は流通経費を取り込んで商売しないと勝負にならない
  • 小規模農家なので投資額の上限はすぐに決まる。必然的に大型の機械が必要なくなる。農地を増やして品目を増やすのではなく農地を制限して小型機械でやりくりすることを考える

名言

  • 百姓は、100の仕事ができる→リスク分散
  • 農業はあくまでも 手段 目的は家族が幸せになること
  • 農家の最大の付加価値は 農家であることそのもの

新規就農を目指す視点からの感想

  • 「準備の準備」期間から脱サラ新規就農を見据えてのアドバイスを暖かく書いてくれている。著者自身が新規就農について悩んでいる人からの相談を受けているので説得力がある。
    著者は就農初年度の売上は140万円・所得は60万円、その期間アルバイトをしていて、年間所得が350万円になったのは4年目だったそう。年収については厳しい情報だけど、なにもわからない状況で悶々としている身には血の通ったありがたい情報だった。それだけ、新規就農界隈の状況が見えていない。(どうやって農家を始めるのか)
  • どう研修をするか、農地の選び方や小規模農家に適した農機具(管理機)など、それぞれのものの値段など具体的に書いてくれている。
  • とにかく著者の実体験に基づいた情報が多いせいか、2016年の本としてはあまり古さを感じなかった。何もわからんけど新規就農したくてうずうずしている人はぜひ読んだ方が良い本だと思う。

読了後・・・

本の中で著者は、着実に積み上げている経験や信頼を「絶対差」と呼び大きな支えとして活動しているようだった。その考えには大賛成。

読了後、2024年現在も著者がお元気でいる姿を確認することができた!着実に頑張っている人の姿を見て心強く、前向きな気持ちにさせてもらえた。

菜園生活 風来 著者のサイト

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コメント

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