新版 いますぐ妻を社長にしなさい [ 坂下 仁 ](kindle版)
新版 いますぐ妻を社長にしなさい [ 坂下 仁 ]2014年初版
概要
メガバンクに20年以上勤めて金融コンサル経験のある著者が、投資で借金を抱えた後、会社員のまま復活して裕福になった経験から、資産を築く独自のノウハウである「妻社長メソッド」やお金を扱うマインドセットについて教えてくれる本
ずっと気になっていた本だったので、読めてうれしい!
著者が妻社長メソッドをお勧めするポイント
ポイント① 妻(会社員でない成人の家族)を社長に据えると正社員がお金を増やしにくい4つの壁をクリアできる
会社員にとっての税制の壁、給与体系の壁は納得。でも、就業規則(副業)の壁と転職市場の壁については2024年の現在ではかなり低くなっているのではないかと感じた。奥さん(妻社長)には そういった壁はないとのこと。
言うまでもないが「専業主婦奥さん&会社員旦那さん」の家庭であることを前提として書籍内では話が進んでいく。10年前の本なので時代を感じます。(著者は夫婦で役割が逆転しても使えるメソッドとも書いており、レッテル貼りをする意味ではないようです)ただ、会社にフルタイムで勤めているだけでは資産を増やすのに制約が大きい、不利ということは確かですね。まあそもそも、日本の普通の会社員は男女関係なく勤務時間で一日が終わるので、雇われ仕事以外に資産を増やすことに割く時間をとるのはますます難しくなっていると感じます。
ポイント② 個人(会社員)と法人・個人事業者の課税構造の違い(法人の方が節税有利)
個人(会社員)は所得税20%+住民税10%=合計30%が先に源泉徴収される。
それに対し、法人は先に経費(出費・損金)が控除された後、残りの収益に所得税と住民税合わせて21%の税金が課される。さらに赤字の法人は7万円の住民税のみ払えばよい。という点で、資産形成に有利であること。
事業の必要経費として生活に必要となる経費の一部も損金扱いして節税するという考え方は、サラリーマンの世界しか知らない自分にとっては新鮮だった。そもそも種となる事業収入がなければ成立しない話ではあるけれど・・・。
気になったのが、やりすぎて脱税のような扱いにならないかというところ。書籍では、度が過ぎてはいけない、常識の範囲内で、と書かれている。水道光熱費やガソリン代、通信費などは、事業領域として勘定している。この辺りの線引きは大切なところなので、国税庁のタックスアンサーなどを確認した方が良いと思った。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2210.htm 国税庁:「No.2210 やさしい必要経費の知識」
ポイント③ 法人化(プライベートカンパニー)したほうが個人事業主よりも有利
個人事業者でも、節税として経費の損金扱いはできるが、出張手当などは法人でないと経費扱いとならないものも多いため著者は法人化を勧めている。日本国内の営利法人の数は約180万社・そのうち99%が中小企業であるため、プライベートカンパニーを作ることは珍しいことではなく、税制面・信用面・資金繰り面で優遇される最強のアバターだと紹介している。
以上のポイントを合わせた結果=「妻社長メソッド」
以上のポイントを合わせた結果、著者がおすすめしているのが、「妻社長メソッド」
まとめると、妻社長メソッドとは、家族の中で会社に勤めていない人を社長にして家庭で法人を持ち、家庭の中の経費(出費)の一部を法人で損金として扱い節税しながら余った資産(会社員家族の給与)を効率的に増やしていく副業の形と言えると思う。
会社員もやっている地主さんや大家さん、兼業農家さんなど、以前から存在していた手法ではあると思うのだけど、サラリーマンの選択肢として提案されたのが面白いところだと思う。正直こういうことを興味を引く形で紹介してくれないと、一生知らずに会社員している可能性も大きいよね。。
自分のような楽しく頑張りたい人間には、会社員家族の扶養内で、子育てもしながら自分の興味のある事業を細々とでもいいからやっていき、節税で資産を増やせる妻社長メソッドは魅力的な形に思えた。
しかもすごくオリジナリティの余地があるよね。わくわくする。

妻の会社をどう継続させるか
しかし、主役である妻の会社が大儲けしなくてもいいから少なくとも継続できないとこの資産形成術は成り立たない。書籍の後半では妻の会社をどう継続させるかというポイントになっている。
事業選定のポイント
小さな金額・利他的なビジネス・簡単で再現性がある・無理なく続けられる・妻がコントロールできるなどが重要だとして、著者は大家業をおすすめしている。
大家業は、10年前ならおすすめされて違和感ないけど、今始めるのはどうかな・・・という気はする。著者も書いてるけど、細かく気の付く人でそれが苦にならない人であれば割に合うかも。
・・・投資はどうなる?
FXなどの信用取引は、著者は利他的なビジネスではないと考えている。ただ、プライベートカンパニーの中でトレードして、トレードの損失を損益計上することはできるらしい→これは要確認
投資とは、他人の役に立つことにお金を使うことなので、一旦手元から投じたお金が感謝の気持ちとして帰ってくる株式投資はこれに当てはまるとは思う。(建前上は)
名言
- 通貨は感謝の気持ちやお詫びの気持ちを見える化したもの=お金の正体
- サラリーマンは構造的に金持ち(経済的に自由)になれない
気づき
- 本書ではお金に対する考え方を説いている部分がかなり多く、著者のお金に対する根幹の思想とも言える。著者は 感謝の気持ち(価値)を創造することが収入として跳ね返ってくる。お金の正体は感謝の気持ちだから自分のため(雇われ仕事)に頑張ってもお金は大きく増えない。と考えており、自分も概ね同意。現代では価値が収入として帰ってくるまでの過程が複雑化しているため、この原則が見えにくくなっていると思う。
- トーゴーサンピン=10、5、3、1 会社員(10)自営業者(5)農家(3)国会議員(1)の順で所得税負担の不公平さを表現した言葉だそう。知らなかった・・・
- 専業主婦を社長にする理由として、雇われていないからという理由の他に、著者はコミュニケーション力の高さを買っている。ただこれは専業主婦経験のある自分から見ると、平均的にはそうかもしれないがそうではない女性もかなりの数存在すると思う
- サラリーマンの世界は社会主義の原理原則が色濃く反映されている。起業家の世界は資本主義の原理原則が支配している。
- 妻が夫の経済力に依存している以上は隷属となる。妻に贅沢な生活をさせてあげることではなくて自立できるように成長をサポートすることを大切に考える著者の思想はとても興味深く、思慮深い愛情があると感じた。
- 著者は自立することが成長の究極の状態と考えている(自立は経済的な自由ということも含んでいる)著者の奥様に対する愛情をがあっての思想かなと思う。私もそういったことの入り口を感じるような経験があるので頷けた。
- 会計の基礎について学ぶ必要性あり。
読了後・・・
著者は2024年現在も精力的に活動を継続されているようです。励みになります。

電子書籍も
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いますぐ妻を社長にしなさい【電子書籍】[ 坂下仁 ]続編もある
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こちらももちろん読みます!
読んだらまた振り返りを記事にする予定です。→記事にしました!
コメント
[…] 先日読んだ 今すぐ妻を社長にしなさい の第2弾となる実践編! […]