本気でFIREをめざす人のための資産形成入門 30歳でセミリタイアした私の高配当・増配株投資法 Kindle版 穂高 唯希 著(2020年初版)
株式配当だけでFIREができるって本当かな
配当金(インカムゲイン)だけでFIREできるくらいまで資産形成をするという手法はなんとなく理論的には分かっていたけど。それを実際に行うという考えは自分には全くなく、株を安く買って高いタイミングで売る(キャピタルゲイン)が投資による資産形成のメインだと思っていたので、自分的に意外な思想に惹かれて読んでみました
著者はすごくできる人っぽいぞ
序盤では、自由のないサラリーマン生活に対する著者の苦悩が書かれており、またどんなバックグラウンドの方なのか分かって、著者の資産形成のノウハウを読む前に受け入れ準備ができたと言ったところ。
自分で書かれているだけあり、秀才で努力もできる自制心に溢れた方というイメージ。なんかこんなちゃんとした人の投資法が自分にできるのか、再現性があるのかちょっと不安になってくるが・・・
まあ・・・バカでもできるよ的ないい加減なことを書いてないというところは好感が持てました
実績を交えた株式配当投資の紹介
メリットとして、複利の力は、そうだよね。
複利効果は投資金額2000万円から有効性を感じられる(順調にいけば月3万円くらいの配当金収入が得られる)という話はこの手法を試すにあたっては少し勇気が出ますね。とにかく有効性が感じられる額になるまでひたすら積み上げることをお勧めされています。まったく理に適っていますね。問題はそこまで積み上げられるか、というところ・・・
自分的に気づきがあった知見
配当金が打ち出の小槌でなく、あくまで企業の株式資本部分がその分減る、ということ。
そしてそれに伴って株価も同程度下がる、ということはよく気づいてなかったので新しい気づきでした。
また、著者も書籍内で触れているが、配当金投資という手法は下落局面で強い。精神的に耐えられやすい構造になっているというのは以前から自分を感じていたので有効な投資手法だと確認できた感じです。
ほかの方もよく言われていますが、この名言
「市場に居座り続けることが必要」
そこでこの配当金狙いの投資法が効いてくる。
配当金投資のメリットの中で、配当利回りが株価下落の際にクッションとなることがある。これは最近自分でも感じてて、高配当株であれば一定の人気があるため市場全体が急落した時に株価下落しにくく、価格が戻りやすいということ。これは比較的確かだと思う。これで市場に居座り続けやすくなるね。
ほかのメリット
他には、配当金が固定で入ってくるため計画性が高い、精神的・時間的に負担が少ないことなど。
配当投資のメリットはわかった。再現性は?
入金額の条件は結構厳しい
書籍の中にシミュレーションがあって、平均年収の場合のにこの手法の再現性があるかというのを考察してます。平均的な年収の人(初年度額面年収が330万円・昇給あり)が給料手取りの8割を積み立てたという想定だと、22歳から始めて十年で金融資産が2000万円になるということになってました。ただしこの想定であれば、結婚も子育ても少しでもお金のかかる趣味も家を買うことも難しい、ということになるので相当再現性は低いんじゃないかと思った。
・・・最短距離でFIREしたい者同士のカップルだったらうまくいくかもしれん・・・!
何に投資するか?
配当金投資の銘柄のおすすめも紹介されていて、著者は米国株推し。最短で増やしたいという目的であれば、そうだよね。日本株との差は歴然。というか米国株の配当利回りがないとこの投資手法は成立しないのでは。
さらに著者がお勧めするのは米国ETF。ただ自分も心配してた通り米国ETFの株価は高騰して、暴落リスクで買うのが怖い・・・
個人的にありがたかったのは著者のお勧めの米国株銘柄について、わかりやすく比較しながら事業内容や増配状況、株価の紹介があったところ。結構、米国株って初心者だとどの銘柄を選べばいいかよくわかりませんので・・・
著者のポートフォリオも紹介してもらってます。かなり手広く分散投資してるという印象でした
何を買って投資するかに関しては、タイミングも銘柄選定も細かく紹介があり、米国株や米国ETFは今後も成長が続く(株価じゃなくて配当)と思われるため、再現性は高いと感じました。
まとめ
つみたてNISAをストイック進化させたような手法
結局、今回紹介されている配当投資は、つみたてNISAの配当金再投資型の投資信託に非常によく似ている。分散投資・ドルコスト平均法・そして複利効果で最短で資産を積み上げ、その後は配当金を得てFIREする。(入金力は必須)
さらに改良されているところは、米国ETFなので投資信託より選択に自由度があり、買い方やタイミングも選べるところ。単純に定期購入するだけじゃなくて、株価が安くなったときにある程度まとめて買い足していくというところなど。
投資効果が最適化されていますね。(入金力は必須)
予想していた種銭作りの手法はなかった
書籍を読む前は、そうはいっても配当金でFIREするなんて大変なんだから、種銭をうまく作る方法なんてのもあるのかな、結局キャピタルゲインありきなんじゃないの?と、実は思っていた。
しかし、そういった話は載っておらず、ひたすらにサラリーマン収入で得た給料を最大限つぎ込んで最短で配当金FIREまでもっていく・そのためには支出を減らして倹約して最適なタイミングでできるだけ安く買って…・・・・という地道な手法でした。
・・・・達成した目的意識がすごいよ!
ま~自分はこの通りにはとてもできないですが、配当金投資についてのアドバイスがきめ細かく紹介されており、今後の資産形成に役に立つ良書だと思いました。あと、サクッと読めて図表もシンプルかつ分かりやすくてよかったです。
本気でFIREをめざす人のための資産形成入門 30歳でセミリタイアした私の高配当・増配株投資法 Kindle版
追記
時間ができた時に著者・穂高さんのサイトを覗いてみた。(2024年11月)
あれ?ポートフォリオが日本株メインになってる!!
勝者の余裕なのかしら・・・とも思ったが、信用取引も引き続きやっているようで、本当に株取引が好きな人なんだなぁと思った。
株式投資で勝つには、待ちの姿勢ではだめで、常に状況を読んで動いていくことが必要なんですね。また参考にさせてもらおう。
ただ、今回読んだ書籍の情報は著者がFireまで持っていった手法であることは確かなので、とても有益な本だと思います。
※投資判断は自己責任でお願いしますね!
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